一人の少年との出会いで癒されていく少女の魂を描いた『エロヒム』は、
昨年11月に携帯コミックで配信されると同時に話題を呼んだ作品
作者は、モーニングで連載されていた『空室あります』で著名な、やまあき道屯氏。
プロフィール
やまあき道屯
妻が原作 夫が画のユニット名。
講談社「ちば賞ヤング部門」優秀新人賞受賞。
「MANGA OPEN」わたせせいぞう賞受賞。
講談社「ミスターマガジン」 『IZUMI』『びわこさん』連載。
講談社「モーニング」 『空室あります』連載。
竹書房「近代麻雀ゴールド」 『花信風』連載。
実業之日本社「漫画サンデー」 『エナジィ』(x細胞は深く息をする)連載。
小学館「ビッグコミックオリジナル増刊号」 『明治骨董奇譚
ゆめじい』連載。
小学館「ビッグコミックオリジナル」
原作 夢枕 獏
作画 やまあき道屯
脚色 やまあき連理
『大江戸恐龍伝』連載。
ライブドア「CloseUp NetTube」で紹介されたインタビュー記事です。 一人の少年との出会いで癒されていく少女の魂を描いた『エロヒム』は、 氏は、『エナジィ』では、心臓移植の倫理という重厚なテーマに挑戦している。 氏の、新しいテーマに挑戦しようとする気持ちはどこからくるのか? 『エロヒム』や『エナジィ』はどのようにして生まれたのか? やまあき道屯
■傷つけられた少女の魂は、少年との出会いで癒される『エロヒム』
??男性を誘い殺す妖艶さをもちながら、サタンや少年に対しては純粋な反応を示す少女シズル、清清しいほどの直情的な少年トモヤ、人間の感情をだんだんと理解していくサタン。 どのキャラクターも非常に魅力的で、それぞれがそれぞれの幸福を得ていくエンディングに、心が温かくなりました。 まずは、この『エロヒム』という作品のストーリーを思いつかれたきっかけは何ですか。 天使全体を指す名前で、悪魔のサタンも以前は神に仕えた天使だったという事からヒントを得ました。
??『エロヒム』のストーリーは、エンディングまで一息に構想されたのでしょうか? 明るく分かりやすいものになりました。 その間で一気に最後までストーリーは完成しました。
??理不尽な暴力によって殺され、その復讐心によって復活し、そしてトモヤと出会ったシズル。 シズルはどのように構想されだのでしょうか。 犯罪心理学の本を読むのが趣味で、重大な犯罪を犯す人間は、必ず、生い立ちの中で人間、 親や友人によって魂を傷つけられています。 もし、犯罪に手を染める前に真の人間愛に触れていたら、彼等は罪を犯さなかったのでは? と、いう観点からシズルを構想しました。
??作中で、寂しさや嫉妬という感情を覚えていく悪魔“サタン”には、ある種の人間的な魅力がありますよね。 人間の本質を分かりやすくしたかったんです。 大人になると、心に雑念があって、中々、一心不乱になれないですよね? すれ違う大石と聖の姿が描かれていますが、やまあきさんがなぜ“愛”をテーマにされるのか、よろしければお教えください。
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■生命の尊厳をめぐる二人の男の葛藤『エナジィ』
??優子をめぐる大石と聖。医学と医工学の対立。『エナジィ』は様々なテーマが入り組む、壮大な作品です。 まずは、この『エナジィ』という作品のストーリーを思いつかれたきっかけをお教えください。 脳死移植をテーマとして扱われようと思われたのはどのような理由からでしょうか。
??『エナジィ』に関して多数の綿密な取材を重ねられたと思いますが、取材時のエピソードをお教えください。 これは何よりも担当氏の努力に他ありません! 東京大学大学院医学系研究科医用生体工学講座の全てをセッティングしてくださいました。 困った時、担当氏が買ってきたばかりのメモ帳とペンを渡してくれたんです。 彼ら3人のキャラクターを構想されたときのことをお教えください
また、当初の構想になく、連載が始まってから新たに追加された要素はありますか? 何があったかは墓場までもってゆきます。約束はできませんが(笑)。 この体制は、いつごろからどのような経緯ではじめられたのですか。 それからまもなく、私が原作、彼が画で漫画を描いて、一ヶ月に一作の勢いで新人賞に投稿しまくって、今に至ります。
??作品執筆に先立って、打ち合わせを重ねられるかと思いますが、『エロヒム』『エナジィ』の際にはどのような打ち合わせをされましたか 基本的には「どのような世界観の画にするか?」をまず、旦那さんに訊ねます。私が漫画の原作を書くにあたって 一番大切にしているのは「彼がどんな画を今、描きたいか?」という事です。それからストーリーを構成してゆきます。 挑戦されようとしてらっしゃるのか、お教えいただけないでしょうか。 キャラクターデザインをされた安彦良和先生に「やまあき道屯さんは他の人が描かないものを描くね。」と、おっしゃっていたと、 そして、やまあき道屯の作品はメジャー的じゃないと、ファンの方によく言われます。 (取材・文/宮坂琢磨) |